【骨折後2か月】立ち上がっても一歩目が出ないのは脳のせい?太ももの筋肉は1日0.8%減る|和歌山市のパーソナルジム

公開日:2026年8月28日 | 監修:石川 翔(柔道整復師・はり師・きゅう師/パーソナルトレーナー)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的とするものではありません。骨折後の「一歩目が出ない」という症状には、脳や神経の病気が隠れている場合があります。まず主治医(整形外科)に症状をそのまま伝えたうえで、本記事をお読みください。

和歌山市和歌浦のパーソナルジム「Titanium Fitness Gym(タイタニウムフィットネスジム)」代表の石川翔です。

「膝の近くを骨折して2か月。骨はくっついたと言われたのに、立ち上がってから最初の一歩がどうしても出ない。脳の病気ではないかと心配で……」

60代後半のご家族について、こうしたご相談をいただくことがあります。骨折の治療そのものは終わっているのに、いざ歩き出そうとすると足が止まる。ご本人も周りも「なぜ?」となる状態です。

柔道整復師として骨折後の身体を数多く見てきた立場と、トレーナーとして筋力を戻す側の立場、両方から言えることがあります。「一歩目が出ない」の多くは、足そのものの変化で説明がつきます。ただし、脳や神経が原因のケースをゼロにはできません。この記事では、その両方を分けて、数字で説明します。

【 この記事の結論 】

  • 脚を固定すると太ももの筋肉は1日あたり約0.8%のペースで減り、28日で約9%、骨折後のギプス6週間では約17%減った報告がある
  • 60代は筋肉の減りは緩やかでも、筋を動かす「神経の指令」が先に落ちる。2週間の固定で脚のパワーは15%低下、立った時のふらつきは45%増加(60代のみ)
  • 一歩目が出ない足側の原因は「筋力」「関節の硬さ」「恐怖心」「センサーの鈍り」の4つが重なる
  • 「足裏が床に張り付く」「小刻み歩行」「手のふるえ」「むせる」が加わる場合は、脳神経内科への相談を
  • 60代でも4週間の再トレーニングで立ち座りの回数が+20%。順番を守れば戻せる部分は大きい

骨折から2か月。脚の中で起きていること

骨がくっつくまでの期間、脚は「動かさない」ことで守られます。ただし、その代償は筋肉に来ます。

Kilroeら(2020年)が健康な男性13人の片脚を装具で7日間固定した研究では、太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)の体積は固定2日目ですでに1.7%、7日目で6.7%減っていました。1日あたり約0.8%というペースです。

29の研究をまとめたHardyら(2022年)の系統的レビューでは、健康な人の大腿四頭筋は14日で6.5%、28日で9.2%減少。ふくらはぎ(下腿三頭筋)はさらに落ちやすく、28日で11.2%でした。脛骨骨折でギプス固定を6週間受けた患者では、大腿四頭筋の断面積が約17%減ったという報告もあります。

脚を固定した日数と太ももの筋肉の減少率を示す棒グラフ。2日で1.7%、14日で6.5%、28日で9.2%、骨折後6週間のギプスで17%減少
図1|脚を動かさないと、太ももの筋肉は1日約0.8%のペースで減っていく

かみ砕くと:2か月間、脚をかばって過ごしたなら、太ももとふくらはぎは「別人の脚」になっていると考えたほうが自然です。筋肉が減るスピードは、ご本人の感覚よりずっと速いのです。

注意点として、これらの数字は主に若い健康な男性を固定した研究の値です。後ほど触れますが、60代では減り方はむしろ緩やかで、その代わり戻りにくいという別の問題があります。

一歩目が出ない、足側の4つの原因

骨折後の「一歩目が出ない」は、ひとつの原因ではなく、4つが重なって起きることがほとんどです。

一歩目が出ない足側の4つの原因を示す図。筋力の低下、関節の硬さ、かばう動作と恐怖心、センサーの鈍りの4項目
図2|4つの原因は別々ではなく、重なって「一歩目」を止める

1. 筋力の低下(廃用性萎縮)

立ち上がって体重を片脚で支え、さらに前へ進み出すには、太ももとふくらはぎの力が要ります。ここが足りないと、脳は「まだ踏み出せる状態ではない」と判断して動きを止めます。これは異常ではなく、転倒を防ぐための防御反応です。

2. 関節の硬さ(拘縮)

膝関節の近くを骨折した場合、関節を包む膜(関節包)や周りの筋肉・腱が固まりやすくなります。膝がなめらかに曲がらないと、脚を前に振り出す動きそのものが出にくくなります。

3. 無意識の「かばう動作」と恐怖心

骨折した時の痛みの記憶と、「また痛むのではないか」「体重をかけて大丈夫か」という不安。この2つが重なると、無意識のうちに体重移動をためらいます。Guerraら(2024年)が19の研究・1,480人分をまとめたレビューでも、股関節骨折後の高齢者では転倒への不安から活動を制限する傾向が確認されており、筋力・バランス・過去の転倒歴などが関わるとされています。

4. バランス感覚(固有受容覚)の低下

かみ砕くと:足裏が床を捉える感覚、膝がどのくらい曲がっているかを感じ取る感覚は「センサー」です。ケガと安静でこのセンサーが鈍ると、身体は「今、動き出していいタイミング」を掴めなくなります。

この4つのうち、関節の硬さと痛みへの対応は、トレーニングの前に整えておく必要があります。当ジムに併設している接骨院では、骨折後の関節の動きや周囲の筋肉の状態を確認し、必要に応じて手技や物理療法でアプローチしています。

併設 和歌の浦翔鍼灸接骨院

骨折後の膝の硬さや痛みは、まず接骨院で

柔道整復師・はり師・きゅう師の国家資格をもつ院長が、関節の動きと周囲の筋肉の状態を確認します。主治医の治療と並行して、トレーニングに入る前の身体づくりを行います。

和歌山市の鍼灸接骨院和歌の浦翔鍼灸接骨院

60代は「筋肉」より先に「神経」が落ちる

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

Suettaら(2009年)は、60代の男性9人(61〜74歳)と20代の男性11人の片脚を2週間ギプスで固定し、その後4週間の再トレーニングを行いました。結果は意外なものでした。

  • 筋肉の体積の減り方は、60代のほうが緩やかだった
  • 一方、筋肉を動かす神経の指令(筋活動)が落ちたのは60代だけだった
  • 4週間の再トレーニングで筋力は両方とも戻ったが、筋肉の体積は60代では戻りきらなかった

同じ研究グループのElamら(2022年)は、平均67歳の男性9人で同じ固定を行い、動きの質を調べました。固定2週間後、脚を伸ばすパワーは15%低下。そして両脚で立った時のふらつき(重心動揺面積)は45%増加し、これは60代だけに起きて20代では変化がありませんでした。

20代と60代を比較した図。60代は筋肉の減りは緩やかだが神経の指令が低下し、脚のパワーは15%低下、立位のふらつきは45%増加
図3|60代は2週間の固定でパワーが15%落ち、ふらつきが45%増えた(20代は増えなかった)

かみ砕くと:60代では「筋肉が痩せた」以上に、「脳から筋肉への指令が届きにくくなる」「立った時にふらつく」という変化が先に出ます。一歩目は、筋力よりも「素早く力を出す」「重心を移す」能力に頼る動作です。ここが落ちると、筋肉がそれなりに残っていても足は出ません。

これは同時に、良いニュースでもあります。神経の指令やバランスは、正しい練習で比較的早く戻る要素だからです。実際、Elamらの研究では4週間の再トレーニングで、60代の立ち座りの回数は20%、2分間ステップテストは28%向上しています。

「脳や神経」が原因の可能性はゼロではない

ご心配されている点について、正直に書きます。

「足の裏が床に張り付いたようになり、最初の一歩が出ない」という症状は、医学的には「すくみ足(freezing of gait)」と呼ばれます。Nuttら(2011年)の総説によれば、歩こうという意思があるのに足が前に進まない短い発作的な状態で、パーキンソン病やパーキンソン症候群でよく見られる症状です。加齢に伴う脳の血流の変化が背景にある場合もあります。

骨折そのものが脳の病気を引き起こすわけではありません。ただ、「もともとゆっくり進行していた脳の変化が、ケガによる活動量の低下をきっかけに、症状として表に出てきた」という可能性は考えられます。

足側が疑わしいサインと脳神経内科に相談するサインを左右に並べた比較図。すくみ足、小刻み歩行、手のふるえ、むせる、リハビリで変わらないが相談の目安
図4|自己判断はできない。両方のサインが同時にあることもある

私は医師ではないため、診断はできません。トレーナーとして言えるのは、次の2段階で動いていただくのが安全だということです。

  1. まず主治医(整形外科)に相談する。「立ち上がってから一歩目が出ない」と、そのまま伝えてください。リハビリ(理学療法)の指導につながります。
  2. リハビリを続けても全く変わらない場合、または図4右側のサインがある場合は、脳神経内科を受診する。手のふるえ、極端に狭い歩幅(小刻み歩行)、最近よくむせる、動作全体が遅い、といった症状が目安です。

一歩目を取り戻す4つの段階

主治医から運動の許可が出ていることを前提に、当ジムで骨折後の方に行っている考え方をお伝えします。順番を飛ばさないことが最も大切です。

一歩目を取り戻す4つの段階を示す図。安全に立つ、支える力を戻す、ふらつきを減らす、一歩目を練習するの順
図5|順番を守る。60代でも4週間で立ち座りの回数が+20%

段階1:安全に立つ

立ち上がった直後は、いちばん転倒しやすいタイミングです。手すりやテーブルにしっかりつかまり、立ってから3秒待ち、足元を確認してから一歩を出す。この習慣を最初に作ります。

段階2:支える力を戻す

椅子からの立ち座り、かかと上げ、膝の曲げ伸ばし。ジムの機械よりも、まず自分の体重を支える動作から。太ももとふくらはぎの両方に刺激を入れます。

段階3:ふらつきを減らす

つかまり立ちの状態で、左右の脚に交互に体重を移す練習。図3で示した「ふらつき45%増加」に直接働きかける段階で、ここを飛ばして一歩目だけ練習しても足は出ません。

段階4:一歩目を練習する

かみ砕くと:一歩目とは「体重を前に移してから、足を出す」動作です。多くの方は足を先に出そうとして止まります。重心の移動を先に練習し、小さな一歩から始めます。

当ジムでは、柔道整復師の視点で関節や骨折部の状態を見ながら、この4段階をパーソナルトレーニングで進めています。痛みや腫れが出た場合は中止し、主治医に相談していただく方針です。

正直にお伝えします

◎ はっきりしていること

  • 脚を固定すると筋肉は数日で減り始め、太ももは1日約0.8%のペースで落ちる(複数の研究で一貫)
  • 高齢者は若年者より、固定後の神経機能とバランスの低下が目立ち、筋量の回復も遅い
  • 転倒への不安は活動の制限につながり、回復を遅らせる

△ 注意して読むべきこと

  • 固定研究の対象は健康な人(多くは男性)で、各9〜13人と人数が少ない。骨折の患者そのものを追った研究ではない
  • 「-15%」「+45%」は2週間の固定の値。2か月かばい続けた場合の値ではなく、直接あてはめることはできない
  • 4段階の順番は、当ジムの経験と研究の組み合わせであり、この順番自体を検証した研究があるわけではない
  • すくみ足の原因は多岐にわたり、症状だけから足か脳かを見分けることはできない

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主治医の許可があれば、60代・70代の方も無料体験からご参加いただけます。関節の状態を確認しながら、無理のない段階から進めます。ご家族の付き添いも歓迎です。

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よくあるご質問

Q. 骨はくっついたと言われました。それでも一歩目が出ないのは普通ですか?

骨の癒合と、歩ける身体に戻ることは別です。2か月の安静で筋力・関節の動き・バランスが落ちているため、一歩目が出にくい状態はよく見られます。ただし「普通」と決めつけず、主治医に症状を伝えてください。

Q. 脳の病気かどうかは、どこで分かりますか?

症状だけで見分けることはできません。まず主治医に相談し、リハビリで変化がない場合や、手のふるえ・小刻み歩行・むせやすさなどがある場合は、脳神経内科で検査を受けることをおすすめします。

Q. 落ちた筋肉は、60代でも戻りますか?

研究では、4週間の再トレーニングで筋力は若年者と同じく回復しましたが、筋肉の体積は60代では戻りきりませんでした。一方、立ち座りの回数は20%向上しています。「筋肉の大きさ」より「動ける力」を目標にするのが現実的です。

Q. 家でできることはありますか?

主治医の許可があれば、手すりにつかまった状態での椅子からの立ち座り、かかと上げ、左右への体重移動から始められます。立ち上がった直後の転倒がいちばん多いので、必ずつかまる場所を確保してください。

Q. リハビリと並行してジムに通ってもいいですか?

主治医・理学療法士の方針を優先してください。許可があれば、当ジムでは骨折部や関節の状態を柔道整復師の視点で確認しながら、リハビリの内容と重ならない範囲で進めます。

Q. 本人が怖がって動きたがりません。どうすればいいですか?

恐怖心は一歩目を止める原因のひとつで、無理に動かすと逆効果です。「つかまって立つ」だけの日があってもよいと考えてください。安全な環境で「できた」を積み重ねることが、結果的に近道になります。

Q. ご家族が付き添っても大丈夫ですか?

はい。見学・体験は無料で、ご家族の付き添いも歓迎しています。骨折後の方の場合、主治医からの指示内容(荷重の制限など)が分かるものをお持ちいただけると、より安全に進められます。

まとめ

  • 骨折後2か月の「一歩目が出ない」は、筋力・関節の硬さ・恐怖心・センサーの鈍りが重なって起きることが多い
  • 太ももの筋肉は1日約0.8%のペースで減り、6週間のギプスで約17%減った報告がある
  • 60代は筋肉より先に「神経の指令」と「バランス」が落ちる。2週間の固定でパワー-15%、ふらつき+45%
  • すくみ足・小刻み歩行・手のふるえ・むせやすさがある場合は、脳神経内科への相談を
  • 主治医の許可を得たうえで、「安全に立つ→支える力→ふらつき→一歩目」の順番で戻していく

参考文献

  1. Kilroe SP, Fulford J, Jackman SR, van Loon LJC, Wall BT. Temporal Muscle-specific Disuse Atrophy during One Week of Leg Immobilization. Med Sci Sports Exerc. 2020;52(4):944-954.
  2. Hardy EJO, Inns TB, Hatt J, et al. The time course of disuse muscle atrophy of the lower limb in health and disease. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2022;13(6):2616-2629.
  3. Suetta C, Hvid LG, Justesen L, et al. Effects of aging on human skeletal muscle after immobilization and retraining. J Appl Physiol. 2009;107(4):1172-1180.
  4. Elam C, Hvid LG, Christensen U, et al. Effects of age on muscle power, postural control and functional capacity after short-term immobilization and retraining. J Musculoskelet Neuronal Interact. 2022;22(4):486.
  5. Guerra S, Ellmers T, Turabi R, et al. Factors associated with concerns about falling and activity restriction in older adults after hip fracture: a mixed-methods systematic review. Eur Geriatr Med. 2024. doi:10.1007/s41999-024-00936-9
  6. Nutt JG, Bloem BR, Giladi N, Hallett M, Horak FB, Nieuwboer A. Freezing of gait: moving forward on a mysterious clinical phenomenon. Lancet Neurol. 2011;10(8):734-744.

■ この記事を書いた人

石川 翔(いしかわ しょう)

柔道整復師・はり師・きゅう師(国家資格)
Titanium Fitness Gym 代表トレーナー
和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長

プロバスケットボールチーム「ONELYS Wakayama」チームトレーナー。プロゴルファーをはじめとするアスリートのコンディショニングを担当し、医療とトレーニングの両面から身体づくりをサポートしています。

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■ 店舗情報

店名Titanium Fitness Gym(タイタニウムフィットネスジム)
所在地〒641-0022 和歌山県和歌山市和歌浦南3丁目9−1 FSビル 1F
施設利用24時間(パーソナルトレーニングは予約制)
体験見学・体験トレーニング無料
併設和歌の浦翔鍼灸接骨院/駐車場完備

和歌山市(和歌浦・新和歌浦・雑賀崎・紀三井寺・宮前・秋葉町・和歌山市駅周辺など)を中心に、海南市・岩出市・紀の川市・有田市方面からもご来店いただいています。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的とするものではありません。効果や感じ方には個人差があります。痛みがある場合は、無理をせず医療機関にご相談ください。