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公開日:2026年9月2日 | 執筆:石川 翔(柔道整復師・はり師・きゅう師/パーソナルトレーナー)
※本記事は、私自身のラウンドをもとにした一般的な情報提供です。カフェインを含む医薬品やサプリメントは、体質・持病・服用中の薬によって適否が変わります。糖尿病や心疾患のある方、妊娠中の方は、試す前に必ず医師にご相談ください。
和歌山市和歌浦のパーソナルジム「Titanium Fitness Gym(タイタニウムフィットネスジム)」代表の石川翔です。
先日のゴルフ競技。結果は入賞でしたが、前半・後半とも終盤でスコアを崩し、トップ争いから脱落しました。悔しいラウンドでした。
体重100kg、ヘッドスピード48〜50m/sの身体を、18ホール最後まで爆発させ続けるための「人体実験」。今回は、うまくいった事前の準備と、後半で失速した理由の仮説、そして次回に向けた補食プランを、研究の数字を添えて記録します。マニアックなゴルファー以外は読まないでください(笑)。
【 この記事の結論 】
目次
目次
前日、胃にわずかな「もっさり感」がありました。胃に食べ物が残ったまま朝を迎えると、内臓に血流が取られて動きが鈍ります。そこで、時間差で吸収の早い糖質を入れる作戦をとりました。
筋肉の中にためられる糖(グリコーゲン)は、一般的な成人で300〜400g程度と言われます。前日に糖質を多めにとると、この貯蔵を増やせます。これが「カーボローディング」です。
16時30分に脂質ゼロ・水分の多いわらび餅。18時に用意していた冷たいうどんに、あえてお湯をかけて温めてから食べました。冷たいまま食べると胃が冷えて動きが落ちますし、温めれば表面の余分な脂も落ちます。胃に残る時間を短くするための小技です。
翌朝、もっさり感は完全に消えていました。スタート1時間前に、無水カフェインを含む市販薬(第2類医薬品)を用法どおりに服用。結果、朝一番のティーショットはストレートの爆飛び。ここまでは100点満点でした。
かみ砕くと:「前日に何を食べるか」より「朝、胃に何も残っていないか」のほうが、当日のスイングには効きます。
事件は、前半・後半それぞれの終盤に起きました。身体が突然止まり、不注意のOB。これがスコアを大きく狂わせました。
最初はアミノ酸が足りなくなる「中枢性疲労」を疑いました。しかし振り返ってみると、もっと単純なミスに気づきました。ハーフ(約2時間15分)の間に、ゼリー飲料2個、糖質約90gを短時間で流し込んでいたのです。
総量としては適正です。問題は入れ方です。吸収の早い糖を一気にとると、血糖が急に上がり、それを下げるためにインスリンが多く出て、今度は下がりすぎる。これが「反応性低血糖」と呼ばれる状態です。血糖が下がると脳はエネルギー不足と判断し、集中力を落とします。後半の「不注意によるOB」の正体は、これではないか。これが私の仮説です。
ただし、ここで正直に言っておきます。当日、血糖は測っていません。そして運動中は、血糖を下げるインスリンが出にくくなることが知られていて、この形にならないことも多いと報告されています。詳しくは第4章と第6章で整理します。
ゴルフは1ラウンド4〜5時間、歩く距離は10kmを超えます。持久系競技の目安として、アメリカスポーツ医学会は1時間を超える運動で1時間あたり30〜60gの糖質をすすめています。では、ゴルフでこれをやるとどうなるのか。2023年に日本で行われた研究があります。
関東の学生競技ゴルファー11人に、皮下の血糖センサーを着けたまま18ホールをプレーしてもらい、グミで1時間30gの糖質を小分けにとる回と、何もとらない回を比べました。結果、糖質をとった回は6ホール目から最後まで疲労感が低く、集中力は18ホール通して高く、後半9ホールで血糖が下がりませんでした。一方、スコア・ヘッドスピード・飛距離・2.5mのパット成功率には差がありませんでした。
これより前の2009年の研究では、糖質とカフェインを含むスポーツドリンクをスタート前と6番・12番でとった群で、最終6ホールのパット成功率が高かったという報告もあります。20人・室内での模擬ラウンドという条件ですが、方向性は同じです。
かみ砕くと:ラウンド中の糖質は「一気に90g」ではなく「1時間ごとに20〜30g」。研究で使われたのはグミですが、おにぎり・干し芋・バナナでも同じことができます。私の失敗は量ではなく、入れ方でした。
トレーナーとしての癖で、原因を1つに決めたくなります。しかし後半の崩れには、いくつもの候補が同時に絡んでいるのが普通です。
暑さと脱水。軽い脱水でもゴルフのパット精度と判断が落ちるという報告があります。夏場の和歌山でハーフに500mlでは足りません。
精神的な疲労。36ホールの競技で、後半に精神的・身体的な疲労感が上がるという報告があります。集中の切れ目は、疲れがたまったところに出ます。
カフェインの切れ。カフェインの血中濃度は数時間で半分になります。スタート前だけでは、後半の終盤には効きが薄くなります。カフェインの研究でスコアがよくなったのは、スタート前とハーフの2回に分けてとった条件でした。
単純な体力の消耗。100kgの身体で10km以上歩き、全力スイングを繰り返す。これ自体が負荷です。ここは補食ではなく、日々のトレーニングで底上げする部分です。
つまり、血糖の入れ方を直すことは正しい。ただし、それだけでは足りない可能性が高い。次回は複数の対策を同時に入れます。
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後半に身体が止まる原因が、疲労ではなく痛みのかばい動作という方もいます。同じ建物に併設している鍼灸接骨院では、ゴルフで起きやすい腰・肘・手首の痛みに対して手技・鍼灸・物理療法からアプローチしています。
事前のグリコーゲン充填は確立できました。次の課題は「ラウンド中の血糖を平らに保つこと」と「終盤まで出力を落とさないこと」です。以下、根拠の強さを分けて書きます。
ゼリーの一気飲みは卒業します。CCDは浸透圧が低い糖質で、ブドウ糖やマルトデキストリンの飲料より胃を通過するのが速いことが超音波で確認されています(10人)。15gをとった実験では、持久運動中の「きつさ」の自覚が低かったという報告もあります。血糖の急上昇を起こしにくく、点滴のように平らに供給できるのが狙いです。
ただし、CCDの研究は製造元の資金で行われたものが中心で、人数も少なめです。「グミやおにぎりを1時間ごと」でも同じ目的は果たせます。CCDは「飲めるので手間がない」という利点で選んでいます。
血液中のBCAA(分岐鎖アミノ酸)を高めると、疲労感のもとになるトリプトファンが脳に入りにくくなる。これが「中枢性疲労仮説」です。理屈はきれいですが、人で集中力やパフォーマンスが改善したという結果は一貫していません。私は試しますが、効いたと感じても「気のせい」の可能性を残しておきます。
クレアチンをとり続けると、筋肉の中のリン酸クレアチンが増え、瞬発的な出力が上がります。これは数百の研究で確認された、最も根拠の強いサプリメントの1つです。ゴルフに絞ると、ハンディ5〜15の男性27人に、クレアチンを含む混合サプリを30日とらせた試験で、最長飛距離が+5%(+13.6ヤード)という結果があります。
ただし2点、注意があります。混合サプリなので「クレアチン単独で+13.6ヤード」ではないこと。そして販売元の資金による試験であることです。「ラウンド終盤の飛距離低下を防ぐ」というデータは、私の知る限りありません。飛距離は伸びるかもしれないが、後半の落ち込みを防ぐかは別問題、と分けて考えます。
ハンディ3〜10の男性12人が36ホールの競技で、体重1kgあたり約1.9mgのカフェインをスタート前とハーフの2回とった条件では、偽薬に比べてスコアが平均2.5打よく、飛距離も約7ヤード長く、疲労感が低いという結果でした。体重100kgなら1回およそ190mg。市販薬なら用法用量の範囲で収まる量ですが、ここは医薬品ですので、パッケージの指示を必ず守ってください。
そして次回は、血糖を連続で測るセンサーを着けてプレーします。仮説が当たっているかどうか、数字で確かめます。ゴルフ仲間にもこのプロトコルとサプリを分けるつもりです。彼らの後半が安定したら、間違いなく私の処方のおかげです(笑)。
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女子プロゴルファー濱田茉優選手のコンディショニングを担当しています。飛距離・後半の失速・腰の不安まで、身体の側から一緒に組み立てます。ラウンドの補食相談だけでも歓迎です。
◎ はっきりしていること
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それでも私が試すのは、リスクが小さく、外れても失うものが少ないからです。仮説を立て、測り、外れたら直す。トレーニングと同じです。
Q. ラウンド中、何をどれくらい食べればいいですか?
目安は1時間あたり糖質20〜30gを、1〜2ホールごとに小分けにとることです。グミなら10粒前後、おにぎりなら半分〜1個、バナナなら1本がこの量です。一度に大量にとるより、少しずつのほうが血糖が安定しやすいと考えられます。
Q. ゼリー飲料はダメなのですか?
ダメではありません。私の失敗は、2個を短時間で飲んだことです。1個を数ホールかけて少しずつ飲むなら、むしろ扱いやすい補食です。
Q. 前日のカーボローディングは、一般のゴルファーにも必要ですか?
競技や1日36ホールでなければ、そこまで厳密にする必要はありません。それより「前日の夜に脂っこいものを食べすぎない」「当日の朝食を抜かない」の2つを守るだけで、後半のもちは変わります。
Q. カフェインはコーヒーでもいいですか?
研究で使われた量(体重1kgあたり約2mg)は、体重70kgならコーヒー1〜2杯分に相当します。普段からカフェインをとる習慣がある方は効きが弱くなります。動悸・不眠・胃の不調が出る方、心疾患や高血圧のある方、妊娠中の方は避けてください。
Q. クレアチンはいつから始めればいいですか?
1日3〜5gを毎日続けると、3〜4週間で筋肉内の貯蔵が上限に近づきます。試合の前日に始めても間に合いません。腎臓の病気がある方は事前に医師にご相談ください。
Q. 後半に崩れるのは体力不足ですか?
補食だけで解決しない場合、その可能性があります。10km歩いて全力スイングを繰り返す競技ですので、脚と体幹の持久力は素直にスコアに出ます。当ジムでは、ゴルフの動きに合わせた筋力・持久力の土台づくりから行っています。
Q. 血糖を連続で測る機器は、誰でも使えますか?
皮下にセンサーを着けるタイプの機器があり、研究でも使われています。入手方法や使用条件は製品や時期によって変わるため、薬局や医療機関にご確認ください。
次こそは、最後まで脳と筋肉を支配して上位をもぎ取ります。結果は、また正直に報告します。
■ この記事を書いた人
石川 翔(いしかわ しょう)
柔道整復師・はり師・きゅう師(国家資格)
Titanium Fitness Gym 代表トレーナー
和歌の浦翔鍼灸接骨院 院長
プロバスケットボールチーム「ONELYS Wakayama」チームトレーナー。女子プロゴルファー濱田茉優選手をはじめとするアスリートのコンディショニングを担当し、医療とトレーニングの両面から身体づくりをサポートしています。
医療の国家資格を持つトレーナーが常駐し、鍼灸接骨院を併設したパーソナルジムです。ゴルフの飛距離・後半の失速・腰や肘の不安まで、身体の側から一緒に組み立てます。
■ 店舗情報
和歌山市(和歌浦・新和歌浦・雑賀崎・紀三井寺・宮前・秋葉町・和歌山市駅周辺など)を中心に、海南市・岩出市・紀の川市・有田市方面からもご来店いただいています。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を目的とするものではありません。効果や感じ方には個人差があります。医薬品・サプリメントは体質や持病によって適否が変わります。不安がある場合は、無理をせず医療機関にご相談ください。